Monthly Theme Archives

Monthly Theme Oct 2022

テクスチュア

テクスチュアの語源はラテン語の「textura」。元来、織物の質感や織り方を指す言葉でしたが、それが素材の感触や表面の処理なども表すように派生しました。加えて、音楽の世界では音の質や響きの密度、空気の震える様子もテクスチュアとして捉えられます。

今回は、独特のテクスチュアをつくり出す音の出し方や録音術、さらには触覚として新鮮で気持ちよい本など、あらゆるテクスチュア・ブックを選んでみました。何でもデジタル技術で処理されてしまう時代だからこそ、人の感じる絶妙で曖昧な感覚を大切にしたいと思うのです。

BOOK LIST

Selected by
Weaving as a metaphor
実験的な織りと彫刻のテキスタイルアートで知られる現代アーティストのシーラ・ヒックスによる作品集。これまで非公開であった作品まで掲載した、まさに集大成とも言えるようなオブジェ的本書は、本や彫刻といった概念の柵を軽々と超える。
抽象の力
近代芸術はいかに展開したか。20世紀美術を動かした、真の芸術家たちは誰なのか。戦後美術史の不分明を晴らし、その力を発揮するはずの抽象芸術の可能性を明らかにする。「美術の力」理解のための絶好の案内書。
スティーリー・ダン・ストーリー 
1枚のアルバムに2年を費やし、制作費は1億円以上…。ロックンロールに、ジャズ、SF、映画、ビート文学など20世紀ポピュラーアートのさまざまな素材を盛り込んだ、スティーリー・ダン。彼らの50年におよぶ音楽的冒険。
フォーエバー・ヤン―ミュージック・ミーム
ダブ、ヒップ・ホップ、ラヴァーズ・ロック、現代音楽とあらゆる分野を自由自在に行き来し、多くの顔を持つアーティスト ヤン富田。そんな彼の音楽家としてのルーツやヒストリーを、関係者たちの言葉からじっくりと探る一冊。
細野晴臣 録音術 
制作に寄り添ってきたエンジニアだからこそ語れる細野晴臣の「音づくり」とは。「自分と同業者のために音楽をつくっている」と公言してきた細野作品の歩みを、7人の歴代のエンジニアと細野晴臣本人とともに辿る。
手の倫理
人が人にさわる・ふれるとき、そこにはどんな交流が生まれるのか。相手を知るために伸ばされる手は、表面から内部へと浸透しつつ、相手との境界、自分の輪郭を曖昧にし、新たな関係を呼び覚ます。
胞子文学名作選
太宰治から芭蕉、川上弘美まで、あらゆる文学者たちの見た「胞子」の世界が、それぞれのデザイン・マテリアルを以って表現されたとっておきの一冊。お気に入りの一作やページを探すのも、なんだか楽しい。
This is a time of... S.M.L.
yoshitomo nara + “graf ”
つくることと見せることが同じステージ上にある、奈良美智とgrafによるS.M.L.展の写真集 。ある冬の10日間の愛と感動に満ちた展示が、きらきらした時間とともに蘇る。「モノをつくること」の楽しさや美しさが、本そのものにも表れた一冊。
人間人形時代
「本は暗いおもちゃである」をコンセプトに、デザイナーの杉浦康平と編集者の松岡正剛によって、作家 稲垣足穂の独特な世界を表現しきった本書。あらゆるテーマと言葉に対して、様々な素材たちが散りばめられた様子は、まさに宇宙的な融合である。
細野晴臣インタビュー
THE ENDLESS TALKING 
一貫してポップでアヴァンギャルドな細野ワールド。はっぴいえんど、ソロ活動、ティン・パン・アレー、YMO、HIS……めまぐるしく変貌する多彩な細野サウンドの「謎」を徹底インタビューで解き明かす。
城崎へ帰る
こころにポッカリと空いた「何か」を埋めるために10年ぶりに城崎温泉を訪れた主人公。その喪失感を埋めてくれたのは、かつて城崎を訪れた母との思い出と温泉、そして蟹。殻から身をスッと抜くように本を取り出す仕掛けをお楽しみあれ。
PIG 05049
オランダのアーティストであるクリスチャン・メンデルツマによって造本設計のなされた本書は、1頭の豚から作られた全ての製品を追跡したという一冊。ある時は紙に、またある時は陶器に姿を変えるその変容ぶりには、読んでいて驚きを隠せない。
Ca va, ca vient
コラージュ作家 井上陽子による、2011年から2021年までの10年間の作品をまとめたアートブック。いつかの新聞、街の風景、白黒写真にインクの染みや引っ掻き傷といったあらゆるテクスチャーから生まれる唯一無二の作品たちをご覧あれ。
サウンドアート
──音楽の向こう側、耳と目の間
「アートはサウンドか?サウンドはアートか?」という問いに対し、ジョン・ケージやブライアン・イーノ、オノ・ヨーコたちの作品とともにサウンドアートの本質へと迫る一冊。音とアートの密接な関係性について、ぜひご一読を。
Materials & Lines
20世紀のイタリア美術界のスター的存在、ピエロ・マンゾーニによって、2019年にロサンゼルス開催された展覧会にて発行された作品集。Materialでは様々な素材を実験的に製作に用いた様子が窺え、Linesでは彼の絵画作品に欠かせない線について描かれている。
やがて秋茄子へと到る
「幻想の横須賀線に手を振ってありし日の音楽を聞き流す」……2007年『やがて秋茄子へと到る』30首で「短歌研究」新人賞最終候補となった新鋭歌人 堂園昌彦の第一歌集。季節と感傷とを織り交ぜた心地よい言葉たちは、すっと私たちの肌になじみ込む。
ざらざらをさわる
独自の世界観によって多くの作品を手掛けるイラストレーター 三好愛によるイラスト・エッセイ集。ことばから作品やイラストのイメージを膨らませるという彼女のエッセンスがぎゅっと詰まった、あたたかな一冊。
録音芸術のリズム&グルーヴ
素晴らしいレコードには、必ず素晴らしいサウンドが宿っている。そのサウンドのなかでも最も中核をなしているのがドラム・サウンド。ドラムの”いい音”とは何か?を探究した一冊。
フィールド・レコーディング入門 
フィールド・レコーディングには響きとしての音の面白さだけでなく、音が生じる場所の歴史や生態環境、録音者の視点といった文脈が深く結びついている。新たな視点で、想像を巡らし、響きの中で世界と出会おう。
AGI 2 / ENO
阿木譲とブライアン・イーノをテーマにイーノの創造の本質をわかりやすく解説。「ロック・マガジン」が、いかにイーノと伴走し70年代後半の音楽の変化に鋭敏に反応していたかを、当時の復刻と現在からの考察によってまとめた貴重なドキュメント。
Brian Eno : Visual Music
ブライアン・イーノが手がけた300以上にわたるビジュアルアートを紹介する一冊。フルカラーのアート作品に加えて、パーソナルノートやエッセイ、ゲームクリエイターのウィル・ライトによるインタヴューから彼の哲学を知る。
フォーエバー・ヤン―ミュージック・ミーム
ダブ、ヒップ・ホップ、ラヴァーズ・ロック、現代音楽とあらゆる分野を自由自在に行き来し、多くの顔を持つアーティスト ヤン富田。そんな彼の音楽家としてのルーツやヒストリーを、関係者たちの言葉からじっくりと探る一冊。

EBS PLAY LIST

Selected by

Monthly Theme Archives

近年、国内だけでなく海外でもスポットライトの当たることの多い「シティ・ポップ」の潮流。
始発点とその定義は曖昧で、人によっても捉え方は違うのだそうですが、サウンドやヴィジュアル通した上品さと洒脱さ、そして時代の波を超えていく普遍性を感じさせるイメージは一貫しています。

リズミカルなテンポと精巧なサウンドがなぜ世界を席巻するのに至ったのか? そんなことも少しだけ考えながら、この冬の支度を始めるのは如何でしょう。

1960年代のヒッピームーヴメント「The Summer of Love」に触発され、1980年代後半に起こったダンスミュージックのムーヴメント「The Second Summer of Love」。

アシッドハウスを爆音で聴きながら、人里離れた野外や倉庫で行われたレイヴは、エクスタシー文化と結びつきながら、それまで英国にはなかった解放感溢れる音楽の波をつくりました。

サッチャー政権での高失業率と明日への不安が反転し、当時の計り知れない熱量が今も語り継がれる狂騒の時代を本を通じて垣間見て下さい。

「暑い」としか言葉が出ない季節に、より熱いジャズマンの魂にまつわる本や、クールで涼やかなジャズのスタイルに関する本はいかがでしょうか?

100年前のニューオリンズを基点としながら、スウィングするリズムや複雑なコードは時代の息吹を、地域の風土を、そしてミュージシャンの個性を巻き込みながら、革新させ続けてきました。

そんなジャズの来歴を追う「We've Got JAZZ 」というテーマからELLA BOOK SHELFは始まります。

「暑い」としか言葉が出ない季節に、より熱いジャズマンの魂にまつわる本や、クールで涼やかなジャズのスタイルに関する本はいかがでしょうか?

100年前のニューオリンズを基点としながら、スウィングするリズムや複雑なコードは時代の息吹を、地域の風土を、そしてミュージシャンの個性を巻き込みながら、革新させ続けてきました。

そんなジャズの来歴を追う「We've Got JAZZ 」というテーマからELLA BOOK SHELFは始まります。